対人恐怖症は日本人特有である場の空気を読む事に対して、敏感すぎると起きる問題でした。

対人恐怖症になりやすい国民性

白ワンピース

初期症状には学校・職場などで他人との接し方が分からなくなったり、他人からの視線が気になってしまいます。日常的な会話に問題はなくても、多くの人の前で発言する時になると頭の中が真っ白になり、赤面したり、汗をかいたり、今の状況を他人に見られる事に羞恥心を感じたり、他人からの評価に強く反応してしまいます。これらの症状は通常誰でも起こるような事かもしれませんが、対人恐怖症の場合、それをずっと引きずってしまいます。

授業中や会議中に突然指名されて何かを発表しなければいけない時に、本人にとっては恥ずかしい、失敗したなど強く印象に残るなど、例え些細な出来事でもキッカケには十分です。こうした外的要因から、人前で発言する事は赤面したり、声や身体が震えたりする事に恥ずかしい、怖いといった感情に繋げてしまい、これらの経験から、他人と自分を比較したり卑下してしまい、更に緊張、不安、恐怖といった感情を強めてしまいます。失敗した事を流せずにこれら症状を強く意識してしまうと、次の機会にも症状を強く意識しすぎてしまい、不安から緊張が生まれ、緊張から身体と心に悪影響を及ぼします。

他人と接する事で起こる為、普段親しい友人や家族などに囲まれている間は本人にも気づかなかったり、親しい人の前では活発で元気な人ほど、本人の悩みや症状の辛さは親しい周囲の人々にも気付かれにくい点でもあります。元々神経質な人や、根が真面目な人はこうした症状を発症しやすい傾向にあります。

こうした症状が起こるのは本人の性格や育ってきた環境のせいだけではなく、日本人の国民性にも少なからず影響しているのではないでしょうか。日本人の性質は普段は他人に無関心、適度な距離を保って近づきすぎないように無意識的、意識的に制御しています。しかし、いざ困った状況に置かれている人には自然と助け合う性質も併せ持ちます。良くも悪くも協調性を重視するあまり、学校や職場で孤立したり突出しないよう人間関係を気にします。場の空気を読みすぎてしまい、個人の発言が制限されてしまったり、自ら制限をかけてしまう事で、症状を悪化させてしまいます。

幼い頃から個性を突出させるよりも、協調性を重んじるような教育を受けてきた日本人には、場の空気を読む事は状況によっては長所にも短所にもなり得ます。失敗経験を生かす前に、不安や恐怖の感情に雁字搦めにされている状況にも理解を示す必要があります。

対人恐怖症とは

枯れた花

対人恐怖症には様々な症状がありますが、その根底には他者から否定された事に対しての恐れです。人前で失敗して羞恥心を覚えたり、周囲から笑われてしまったら、どう思われるか、こうした思いから様々な症状が現れます。 人前で注目を浴びたり、緊張したり失敗して恥をかいたり笑われる事は、誰でも起こります。

それでも、通常ならば緊張しながらでも何とか乗り切る事はできます。また、そうした出来事に対して不安に押し潰されそうになったり恐怖から身動きすら取れなくなる事はないでしょう。通常ならば難なく乗り越えられる出来事や、記憶と共に風化しそうな些細な緊張の場面でも、対人恐怖症では些細な出来事として処理できなくなります。

余程親しくしている相手や、認めて欲しい相手ではない限り、他人から注目されたり気に留められる事は、通常ならばいい気分はしません。余程注目を浴びたい人でなければ関心のない他人から注目される事はあまり好まないところでしょう。しかし、対人恐怖症患者の場合、他人からの視線に対して不快感よりも恐怖心が勝ってしまい、例え周囲が自分への注目を集めていない状況でも、些細な事で実は注目されているのではないか、誰かが見張っているのではないかと過剰なほどに意識してしまい、それが恐怖心へと変わります。

こうした経験を重ねていくうちに、やがて人前に出る事や人目に付く事を避けるようになり、他人と接する機会も無くしていきます。本人は他人が嫌いなわけでも、疎んでもいません。ただ他人との接触の機会があっても恐怖心が勝ってしまい、他人と接したいと本人が思っていても、接し方が分からず次第に強くストレスを感じてしまうのです。何度他人と接する機会があっても上手く行動できない自分に自信を無くしていき、更に他人とは接触を避けていきます。

自信喪失は、自分と接する事に相手は気分を害していないか、苦痛に思っていないか、自分なんかとは話をしたくもないのでは?と、自信の喪失が自虐性を帯びていきます。例え親切にされても相手に対し申し訳なさに謝罪を優先する感情が強くなり、感謝より先に自虐さが強く表れ、過去の経験と重ね自分を貶める様になります。

主な症状

ワンピースの女性

対人恐怖症では、学校、職場など複数の人が集まる場所で他人に対して過剰に意識してしまい、以下のような症状を起こしてしまいます。自分以外の人達は皆仲が良くて、自分は輪の中に入れない、入ってはいけない、孤立感を感じてしまうようになります。

主な症状を簡単に挙げていきます。

赤面症
学校や職場で異性や苦手な相手、親しくない相手と接する機会に顔が赤くなる。注目されたり人前に出る場でも過剰に意識しすぎてしまう。赤面してしまう事を指摘される事も悪化に繋がり、表立った場を避けたり他人を避けがちになります。

視線恐怖症
学校や職場、街中などで他人の視線が気になってしまう。周囲が関心を示していなくても、見られているのではないかと意識しすぎてしまう。小声で話している姿に噂されているのではないか、行動が観察されているのではないかと恐怖心を感じてしまう。噂話をされている事が妄想化するなど重症になると、統合失調症などを患っている可能性もあります。

電話恐怖症
会社に勤務する若い女性に多いタイプです。コール音で異様に不安感や緊張感を募らせてしまい、電話口の相手とどう会話していいのか分からない、相手から対応について指摘されないか、言伝をきちんと受けられるのか、電話をとっても言葉が上手く出てこないなど本来出来るはずの事が不安や緊張から恐怖を感じてしまう。周囲に自分の対応を聞かれていると思うと気が気じゃなくなる、聞かれたくないなど。

会食恐怖症
人前での食事に不安、緊張、恐怖を感じてしまう。食事を他人に見られる事や、マナーが正しいか、食事で立てる音が気になるなど、同席した相手に不快感を与えてしまわないか気になり過剰に意識してしまう。

書痙
人前で黒板や役所、式場などで文字を書く事に対して意識しすぎてしまい、手が震えて書けなくなったり記入すら困難になるなど、記入事項に相手から汚い、読み難いなどの評価を気にしすぎてしまう。

振戦恐怖症
学校や職場で書類を手渡す時や、来客時に飲み物を出す時、提出物のチェックや、作業中のパソコンを入力する指が震えてしまうなど、相手からの評価などを気にするあまりに手足などが震えてしまい、恐怖に感じる。相手に親しみを感じるようになると、似た機会が来ても、以前の様な震えなどは起こらなくなる事もあります。

発汗恐怖症
接客や対応時など、人から話しかけられたり接したりする事に過剰に意識してしまい、不安、恐怖、緊張から大量に汗をかくようになります。

腹鳴恐怖症
授業中や会議中など、お腹がなる事に対して心配になり、食事時間に関わらず胃に食べ物を入れておかないと心配になってしまう。もしもなってしまった時の事を考えると不安、緊張をしてしまう。

排尿恐怖症
学校や職場などのトイレで周囲に人が居ると緊張してしまい排尿ができなくなったり、早く済ませて出ないければいけないと焦ってしまう。周囲に人がいなければ落ち着いて用を足せます。

自己臭恐怖症
体臭、口臭、汗の臭い等が相手に不快感を与えてしまうのではないかと思い込んでしまい、他人を避けるようになる。重症化すると、他人が自分を避けていくといった思い込みから妄想性障害を発症する事もあります。

これらの症状は、対人恐怖症が状況によって発生するもので、周囲の視線や評価を意識しすぎて不安や恐怖が勝ってしまっていたり、自分のせいで周囲の人まで恥をかかないかという重責に押し潰されそうな状況で起こります。

対人恐怖症の治療

少女と猫

対人恐怖症の治療には、薬で治療と心の治療という方法があります。しかし、心の治療が効果的であっても、これまでの経験は意識下に強く残っており、信頼できる医師から治療を受けても、克服できる場合もあれば、恐怖心が勝ってしまい克服できない事もあります。

経験した事は意識下に強く残ってしまっているため、まずは恐怖心を和らげてから状況に応じて克服できるように地道に続けていく方法があります。対人恐怖症に根強く残る周囲からの評価や不安、緊張、恐怖心からくる失敗に基づいた経験、自信の喪失なので、これまでの状況で失敗を繰り返してきたとしても、これから似たような状況で恐怖心を抑えて乗り切る事ができれば、失ってきた自信の回復にも繋がります。どれだけ自信を持って行ってきた事でも、たった1度の失敗で恐怖心を持つようになってしまうため、薬や心の治療で恐怖心を鈍らせ、どのような状況でも対処できるようになる事が自信を持てる様になります。

自信を回復させるには実践経験が何よりですが、その実践をスムーズに行えるように、抗不安薬という薬を補助薬に用いられる事があります。抗不安薬のメリットは即効性。早ければ15分ほどで効果が出る物もあるため、緊張や恐怖心を感じた時に頓服薬として使用できる事も利点です。しかし、長期服薬、用法・用量を超えた大量服薬によって、依存性、耐性があるため、欠点もあります。

これまでは、副作用の少なかった抗不安薬:デパスが代表的なものでしたが、個人輸入が禁止され病院処方のみに改定されたため、今後は病院処方の入手しかできなくなりました。しかし、対人恐怖症の場合、人前どころか病院に行く事も苦痛です。対人恐怖症に用いられる薬で個人輸入で通販できる薬もありますので自分の症状や身体にあったものを探して見ましょう。

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