思考や感情を司るのは脳です。抗うつ剤は脳に作用してそこからリンクする心や精神に効果を示します。

抗うつ剤の効果が出る理由

脳内物質

抗うつ剤の主な効果は脳内物質セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン等を上手く潤滑する様、調整役として抗うつ剤が活躍します。上記に挙げた神経伝達物質が枯渇、異常分泌すると脳内のバランスが取れなくなり、様々な疾患を引き起こします。

神経伝達物質が正常に働けないのは、ストレス過多、不規則な生活・食事、運動不足、寝不足等が主な原因と言われています。主にセロトニンなどの神経物質が激減する事で、脳内のローテーションが回らなくなり、身体が突然誤作動を起こすのです。

セロトニンの枯渇で生活が徐々に辛くなりますが、脳内ではすでに手いっぱい。そこで抗うつ剤で手助けをします。今までテキトウに使いまくっては捨てていたセロトニンを、有効活用できるように調整役を始めます。

無駄使いせず、いつ使い、どれだけ溜めて、捨てずに手元に置いておくか、その役目を抗うつ剤が請け負ってくれたおかげで、セロトニンも自分の役目に集中できるようになります。

治療を始める前に

部屋の隅で蹲る

治療を考えている方に、抗うつ剤についてご紹介する前に解いておきたい誤解があります。うつ病・うつ状態、不安障害、パニック障害など、著名人のカミングアウトや広く知ってほしいとメディア媒体を使って広めた事で、ある誤解が生まれてしまいました。

こうした障害を抱えた人は心の風邪にかかってしまった、だからケアが必要なのだと。分かり易い例えにされた事で、多くの人に認識される事も出来ましたが、誤解も生みました。

心の風邪なら薬使えば簡単に治るよね?まだ治らないのは甘えじゃないの?という誤解です。軽い風邪なんて誰でも経験する事で、珍しい事でもありません。でも風邪をこじらせると扁桃腺炎から肺炎になり、最悪死亡する危険すらあります。

簡単に治る事もあればこじらす事もある、その認識は間違っていませんが、認識を正してほしいのは心の弱さが足を引っ張っているという事。うつ病をはじめとする疾患の多くは脳内の神経物質の枯渇や異常分泌によるものが原因です。

ここでいう心が弱い、甘えは関係ありません。自分からも他人からも医者からも目に見えない神経物質が要因です。人は目に見えないよくわからないものに形という定義を付けたがります。そこで丁度良かったのが精神・心です。

抗うつ剤で副作用が起こったら

セロトニンに作用する薬でよく副作用を起こすのが消化器系、吐き気や下痢です。軽めの物なら抗うつ剤が安定してくる1週間~2週間ほどで体内に成分が安定してきて症状も落ち着いてきます。

何時まで経っても症状が出てしまう場合や、最初から我慢できないレベルの副作用であれば、我慢せずに薬を中断しましょう。体質でどうしても合わない薬はあります。あう薬を捜しましょう。

抗うつ剤は太るのか

お腹の肉を摘む

太るとは一概には言えません。太りやすいのもあれば太りにくい薬もあります。太る理由は主に、リラックス効果による食欲の増加、運動不足が挙げられます。
特に食欲不振でまともに食事が出来なかった人にとっては、抗うつ剤の服用で食欲が戻る方もいるでしょう。その際沢山食べてしまい、かつ運動を怠れば体重増加は免れません。

抗うつ剤は痩せるのか

お腹をメジャーで計る

痩せると考えられる理由は2つ。副作用による吐き気・下痢。抗うつ剤の覚醒作用、意欲向上により活発になる事。消化器系の副作用も痩せる原因になりますが、これまで動く気力すらなかったのに運動を始めるのも痩せる事に繋がります。

抗うつ剤で吐き気が起きる理由

吐き気がするとき

身体の中でセロトニンが脳内に存在するのは僅か2%、90%は胃腸などの消化器系です。消化器系でセロトニンが活躍すれば、胃腸運動も活発になり、時に吐き気をも多す事があります。

同じく副作用により下痢を起こす事もあります。人間の不思議な心理の中に、下痢を起こすと吐き気を催す事もあるようです。ある意味セロトニンが働いているという事にもなるので、脳内にも届いているので、落ち着いて来るまでなるべく我慢が必要です。

抗うつ剤で性機能障害がおきた

背中を向けて寝る男女

抗うつ剤はセロトニンに効き、セロトニンがリラックス効果を起こしてくれます。男女ともに心身ともにリラックスしている時に性的欲求や性的興奮はなかなか起こりづらいもの。特に女性よりも男性の方が生理現象もある為、この性機能障害に気づきやすいようです。

その場合、朝服用する事で血中から排出される頃の夜には、リラックス効果も軽減されているようです。眠気などに日中邪魔されなければ、朝服用してみましょう。朝の服用で夜には血中濃度も下がっていますので、性機能障害が改善されます。

抗うつ剤で眠気がおこる理由

仕事中の眠気

・抗ヒスタミン作用などの覚醒作用
ヒスタミンが脳の覚醒、食欲抑制に動いていて、この作用を抑えるのが抗ヒスタミン作用を初めとする覚醒作用です。脳が覚醒していないと眠気や倦怠感が強くなり、食欲が増加し体重は増加します。

意図した作用ではない為、副作用になってしまうのですがいつもより食べ過ぎている、なんだか眠いと感じたら、抗ヒスタミン作用などの覚醒作用かもしれません。

・覚醒物質によって睡眠の質が悪くなる
ノルアドレナリンやセロトニンのような覚醒物質によって就寝中に目が覚めてしまうと、睡眠の質が悪くなり、日中に眠気を感じる様になります。

・なぜか眠気を感じる
稀ですが、そもそも眠気を感じるはずが無い薬の成分でも、眠気を感じる場合はあります。大抵の場合、薬を飲んだら眠くなるという思い込みや、身体がなれない事で感じる原因不明の眠気など。

抗うつ剤で眠気が起きたら

セロトニンにはリラックス効果を起こす作用があります。リラックスしたり気分が穏やかな時、自然と眠気が起こります。怒っている時にお腹が空いて沢山食べてしまうと、満腹で眠くなります。

怒っていたのももういいやとなげやりになったりします。その時もリラックス状態になっています。眠気が起きて困る場合は、起床後やお昼頃から服用すると眠くなるので、就寝前に服用しましょう。

抗うつ剤とアルコールの併用

お酒を手に取る

薬とアルコールの併用が推奨されないのには理由があります。薬もアルコールも肝臓でろ過され血液を通って体の中を巡ります。アルコールを飲んだら濃度を薄める為に水を飲んだほうがいいと聞いた事はありませんか?アルコールを飲んだら思考や判断能力が落ち、気持ちが大きくなったり気分が悪くなったりします。

ざるにしろ下戸にしろ、身体の中ではアルコールを摂取するたびに大忙しで肝臓が稼動しています。そんなフル稼働のなか、薬が身体の中に入ってきたら肝臓だって対応しきれません。どちらかが後回しになります。肝臓にとってアルコールも薬も身体の中に入ってきた異物なので、急いでろ過しなくてはいけません。肝臓に負担をかけないよう、飲むなら少量、控えめにアルコールを摂取しましょう。

ちなみにビール500mg缶をろ過するのに、健康な肝臓なら、70kgの男性で約3時間、53kgの女性で約4時間かかります。アルコールは飲めば飲むだけ肝臓が頑張る時間も加算されていくので加減してあげましょう。

抗うつ剤との併用は・・

併用は控えましょう。アルコールには血管を広げたりリラックスさせたり、判断力や思考力を鈍らせます。分解も遅く、薬の分解にまで手が回らない可能性もあります。

抗うつ剤の多くはリラックス効果があります。リラックスの相乗効果でもっといい事は起きません。良い事よりも、記憶が無くなるまで飲んだり、気が大きくなって物を壊したり他人に暴言を吐いたり、怖い効果の方が起きやすいのです。

抗うつ剤使用中に妊娠した場合の影響

外出中の妊婦

全く影響がでないとは言えません。抗うつ剤によって異なりますが、妊娠初期、後期で服用する期間によってもどれほど影響を与えるかも変わってきます。胎児の脳、脊髄、肉体がつくられるまでの妊娠15週までは抗うつ剤は大きな影響を及ぼします。奇形児の出生率が飛びぬけて上がるという事はありませんが、抗うつ剤の種類によってはよくない影響を及ぼす可能性があります。

妊娠15週を過ぎてからの服用では、奇形児が出生するリスクは下がります。ただしゼロではありません。現在分かっているのは、抗うつ剤を服用するより喫煙、飲酒をする方が悪影響がでているようです。妊娠中のうつや産後うつという言葉があるように、母親に大きなリスクを背負わせて出産まで耐えられるのか、そこがポイントになります。

抗うつ剤を服用した事がない方でも、うつ状態になる事もあるので、絶対に飲んではいけないとは言えないのです。最終的に飲む、飲まないの判断をするのは母親です。産婦人科医、心療内科の医師、双方と相談しあった上で、妊娠中も服用を続けていくのか、中断するのかを決定します。

抗うつ剤使用中に妊娠するのは・・

お腹に触れる妊婦

母体と赤ちゃん、どちらも大事です。母体が我慢できる程度で症状が抑えられるのであれば服用しない方がいいです。しかし、服用しないと母体どころか胎児まで生命の危険があるような状態なら、妊娠中にも服用する事はあります。その場合、必ず産婦人科医に抗うつ剤を服用している事を告げましょう。

抗うつ剤の中には出血が止まらない薬もあります。出産時に輸血が必要になるかもしれません。隠していても、後で取り返しのつかない事態に発展させる可能性があります。素直に服用すべきか否か相談しましょう。

抗うつ剤使用中の授乳

授乳中の母子

抗うつ剤を服用しながらの授乳も、絶対にしてはいけないとも、安心・安全ともいえません。こちらも母親と、心療内科の医師、産婦人科の意思で最終決定がなされます。どのような薬を飲んでいるかによりますが、悪影響を明らかに与える薬もあれば、僅か程度に留められる薬もあります。

服用する事が決まっているのなら、なるべく母親も満足できて、子供にも影響を与え難い薬を決めておきましょう。服用中でも授乳を控えさせない理由には、母親から子供へ与える母乳に秘密があります。母乳には生まれたばかりの子供に必要な免疫力や栄養がふんだんに含まれています。

授乳によって母と子の絆も深まりやすくなるので、授乳しないよりは授乳した方が母と子、双方にとってメリットが大きいのです。

抗うつ剤使用中の授乳はできる?

抗うつ剤の種類によって授乳可能か不可か決まります。授乳のメリットは、赤ちゃんの免疫力強化と母体とのスキンシップ効果が期待されます。授乳しない事で赤ちゃんとの信頼関係も築きにくくなるため、服用しても授乳してもいいか、医師に相談しましょう。なかには服用中の授乳は控えた方がいい薬もあります。

抗うつ剤を減薬する

薬を受取る患者

突然の断薬、減薬は離脱症状を味わうだけの辛い物になる為、ゆっくり時間をかけて減らしていきます。減薬の仕方は基本、錠剤を4等分して1欠片ずつ減らしていき、早くて2週間、通常で1ヵ月間かけて薬を減らしていきます。

抗うつ剤の減薬の仕方は2通り。錠剤ならばピルカッター等で錠剤を4等分し、1欠片を残して残りの3等分を服用する方法です。減らしていく期間は薬によりますが、大まかにみて1年位の余裕を取っておきましょう。

薬を減らすタイミングは早くて2週間、通常であれば1ヵ月ほど様子をみます。減薬は時間をかけすぎても十分なくらいが丁度いいので、ゆっくり焦らず減らしていきましょう。

カプセルの場合は2日1回、3日に1回と服用する間隔を長くしていきます。薬によって減薬方法は異なるので、場合によっては他の薬を代用として使い、目的の薬を断薬させる方法もあります。急いで減らしすぎると今度は離脱症状で、体調不良になる恐れがあるので、慎重に行いましょう。

抗うつ剤で離脱症状が起こるのは

お腹を庇う女性

離脱症状が起こる条件は主に3つ。突然の断薬、服用間隔の短さ、飲み忘れです。


突然の断薬

今まで服用していたものを突然断薬してしまうと、頭では断薬の事を知っていても身体は知らされていないので、驚いてしまいます。今まで同じ時間帯にある分量だけ服用していたのに、それが突然貰えなくなったら、身体としては抗議行動を起こすしかありません。それが離脱症状です。

頭痛や吐き気、倦怠感に眩暈など、薬が抜けた事で身体に起きる損失が大きい事を身をもって知らせます。この症状は、身体の中から薬が抜けきるまで続きます。身体が薬を忘れてくれれば、症状は起こらないのです。

服用間隔の短さ

効果時間が短くて効果が強い、正にデパスのような薬だと、離脱症状はおきやすくなります。服用している薬の耐性ができると、薬の服用間隔が短くなり、依存ができてしまいます。依存してしまうと、離脱症状はセットで起こるようなものなので、代わりの薬を探すか、服用中の薬を断薬、減薬しなくてはいけません。

飲み忘れ

うっかり飲み忘れたり、服用する日を間違えてしまう事でも起こります。効果時間が短い薬で、効果がとても強い薬ほど離脱症状は置きやすくなります。特に三環系の薬を服用している場合は注意しましょう。

抗うつ剤で離脱症状が起きたら

カプセルと錠剤

取る方法は3つ。薬を元に戻すか、我慢するか、他の薬を代用するかです。減薬も順調に行ってきて、減薬が断薬が上手くいかない場合、しばらく減らす直前の服用量に戻し、落ち着いてきたら減らす、という方法を繰り返します。

身体の中に残った成分が忘れられなくて身体が薬を欲しがっている為、完全に忘れるまで我慢します。無理に我慢するのは精神的な依存と肉体的な痛みが生じるので、苦行としか言いようがありません。根性を試される様な辛さなので、素直に他の方法を試しましょう。

目的の薬が減薬、断薬があと一歩及ばない、そんな時に、似たような薬を少量代用し、薬が抜けきったら、代用した薬も断薬、減薬を開始します。長ったらしく面倒くさいと感じるかもしれませんが、この方法が意外にも安定して断薬できます。

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