医薬品は効果が強いほど副作用が起こりやすくなる。副作用なんて無ければいいのに。でも意外と利用できる事もあるんです。

薬で副作用がおこる理由

薬と果物

心療内科で処方される薬にも、脳に効く薬なのにお腹が痛い・緩い、気分が悪いなど、本来の目的とは異なる箇所に副作用として現れる場合があります。脳に作用する薬なのに何故他の場所が痛くなったりするのか?薬が作用する仕組みを知ると、副作用が起こる仕組みが分かるようになります。

薬がどのように消化・吸収されて作用していくのか、イメージしにくいかもしれません。イメージしやすいように、食べ物を消化・吸収していく流れを先にご紹介します。

食べ物の消化・吸収・排泄

お酒に付けたフルーツ

人が食事をする理由は大まかに分けて2つ。飢えを凌ぐ為、身体を作り出す材料を摂取する為です。ご飯を食べると胃から腸に運ばれ最終的に排泄されます。消化→吸収→排泄の間には、摂取→消化→吸収→代謝→排泄という過程があります。

摂取

口、または喉や胃からチューブを通して直接栄養を取り込む。食べ物を食べる時に行う咀嚼行為は大切で、普段の生活や成長過程と密接な関わりがある。

咀嚼行為の大切さ

消化

口や胃で細かく分解された食べ物を更に細かく分解して吸収するのが腸の役目。唾液と消化液が混ざり合って、胃で固形物から液状に近くなると、十二指腸で胆汁等と混ざり合い小腸に運ばれます。小腸で分解吸収された後の残り分を腸内細菌で分解吸収し、水分が無くなったものを排泄物として処理されます。

吸収

消化しきれなかった水とミネラル、食物繊維を腸内細菌が分解吸収し、不要な分、吸収しきれなかったのを便として排出します。

代謝

吸収段階で各臓器に送られ貯蔵された栄養素の使用を代謝といいます。代謝の要となるのが肝臓。たんぱく質生成・分解、アルコールや有害な物質を分解、解毒を行います。

排泄

栄養素の搾りかすだけではなく、細胞が代謝を行った時の老廃物も便に含まれます。不必要な老廃物を体内から排出する役目が腎機能です。腎機能が低下すると不要な物質や老廃物等の排泄がうまく行えない為、血中に尿毒素が溜まる症状を起こす事もあります。

薬の取り込む仕組み

分子レベルにまで分解

薬には様々な種類があります。舐めたり噛んだりするものから、咀嚼禁止のものや飲み薬、貼り薬など様々です。身体の中で薬が吸収され、分布、代謝されるまでにどのような働きがあるか把握すれば、服用タイミング等も自然に逆算できるようになります。一般的な薬は咀嚼が必要ない為、吸収→分布→代謝→排泄の過程になります。

各種臓器に必要な作用を届ける為には吸収後に全身の血中を辿る事が必要です。食事の栄養素と同じように、薬も小腸まで到達できなければ各臓器に分布する事ができません。

吸収

腸まで届かせて吸収し、体内中に成分を分布させる方法がイメージしやすいですが、小腸まで到達させる必要のない物もあります。便秘の改善薬や腸内細菌を正しく戻す整腸剤は、腸から吸収されないように工夫している薬もあります。他にも血管へ注入する注射薬、肛門から直腸へ挿入する座薬等。

分布

腸から吸収された成分は体内中を巡り目的の場所へと届きます。全身を巡っている際に、想定外の場所に辿り着いて思いもよらない作用を起こす事があります。元々降圧剤などに使用されていた薬が薄毛に効果があるという事が分かり、多くの人に薄毛の治療薬として利用されている薬もあります。思ってもない効果が良い意味で現れた時、副産物から主要目的に切り替わる事もあります。副作用を都合のいいよう利用するという方法です。

分布による作用が予想外の方向に現れた時、副作用と呼びますが、上記の様に良い方向と悪い方向とは受取り側で変わります。上記の薬の様に薄毛で悩んでいない場合は増毛が悩みの種になる可能性もあります。逆に、明らかに困った副作用でも、受け取り側にとっては歓迎される事もあります。抗不安薬には眠くなる副作用が付いてきますが、その副作用を利用して不眠を解消する事もできます。

1日の服用が1回で済むレクサプロ(SSRI)、ジェイゾロフト(SSRI)、イフェクサー(SNRI)、パキシル(SSRI)等は就寝前に服用する事で、眠気という副作用を本来の睡眠時間に利用する事ができます。その目的もあって処方されている患者もいます。食欲が無くなる副作用は、食べ過ぎるのを抑える効果もあります。

口が渇いてしまう副作用を、鼻炎に悩む方が服用すると鼻水が止まったり、食欲がなくなる薬は過食気味な人が服用して食欲を抑えたり。薬に慣れた人や、知識がある人は副作用を逆に利用してやろうという気持ちで服用している事もあります。

薬を服用したからと言って、絶対に副作用が出るとは限りません。逆に副作用が絶対出ないとも言えません。不都合な副作用が起きるかもしれないという気持ちで服用すると、身体に異変が起こる事もあります。

思い込みの力は人が思うより大きな力です。プラセボ錠という有効成分も治療効果もない偽薬を、本物の薬だと相手に思い込ませて服用させると、薬を飲んだ安心感から通常偽薬ではありえない治療効果を発揮する事があります。それと同じで副作用が起きない、もし起きたとしても利用できる何かに発想を転換させる事で、副作用を感じなくする事もできるようです。

代謝

肝臓の働きは大きく、食品や飲料など、人間が口から摂取したものの中には有害物質が含まれていることもあります。その有害物質を解毒する為の機能が備わっており、主に肝臓で代謝する薬は、身体にとっては異物のような物です。身体の中に吸収された薬は最高濃度に達し、代謝・排泄されていきます。

持続時間が長い薬はゆっくり効いてゆっくり排泄されていきます。こうした薬の服用回数は1日1回程度。

持続時間が短い薬は早く効いて早く排泄されていきます。こうした薬の服用回数は1日2~4回。もしくは頓服として利用。

副作用が起きる前提で考えれば、早く効けば早く副作用から解放されますが、即効性があるものほど、副作用が起きる可能性も高まります。逆に、持続性の長い物はゆっくり排泄される為、身体から抜けるまで長時間副作用に悩まされます。その点、持続性の長い物は副作用が起きる可能性は低くなっています。

排泄

体内に取り込まれた薬が排泄されるには大きく分けて2種類。排便時に一緒に排泄されるか、排尿時に一緒に排泄されるかです。排便として排泄される場合、肝臓で代謝され消化管に排泄されます。排尿として排泄される場合、腎臓で作り出された尿として排泄します。この場合、代謝していなくても排尿として排泄される場合があります。

そのため腎臓機能、肝臓機能が低下していると、副作用が発生しやすくなり、副作用が強く現れる事もあります。その為、薬の投与量を減らしたりと調整する必要があります。例外として、吸入麻酔薬などの気体として取り込んだ場合、肺から排泄されています。

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